SOCCERKING OPINION

メニュー

意味合いが全く異なる【バルサのポゼッション】と【日本のポゼッション】

“ポゼッション”をプレーする日本人



今回は日本人の大好きな“ポゼッション”について考察していきたい。
『ボール支配』を意味する“ポゼッション”が日本で広く認知されるようになったのは、ペップ・グアルディオラが築き上げたバルセロナ、バルセロナの多くのメンバーで構成されたスペイン代表の大躍進によるものが大きいであろう。
それ以来、スペイン式のトレーニングが広くシェアされ、各指導者もそれを倣ったトレーニングを行うようになった。
こうして日本では代表から育成年代まで皆がこぞって“ポゼッションスタイル”を目指すようになり、試合をみれば相手の背後のスペースも逆サイドのスペースも無視した”ボールのつなぎ合い“”ばかり見られるようになった。
ボールを繋げば拍手が起き、ロングボールを蹴れば下手くそと揶揄されるようになった。
結果として手段が目的化し、日本ではサッカーが“ポゼッション”という競技にとって代わった。

サッカーをプレーするバルセロナ



では、ポゼッションサッカーを採用するチームの代表格であるバルセロナはどうであろうか。
結論から言えば、バルセロナはポゼッションが非常に大きなソリューションという位置付けに変わりはないが、紛れもなくサッカーをプレーしている。
ペップが監督を務めた時代は非常にポゼッションに傾倒していたことは否めないが、以降ボールを短くつなぎながら速く前に進むビラノバ、ロングボールを織り交ぜたメリハリのある攻撃を採ったマルティーノ、そしてこの2つのスタイルに加えサイドチェンジを新たなソリューションとして加えたエンリケといずれもポゼッションを大きなソリューションとして据え置きながらも、相手と状況に合わせて他の手札も用意しているのである。

このようにポゼッションをベースにしながらも都度解決策を用意し、バルセロナは“サッカー”をプレーしている。

さらに言えば、ポゼッションの中にもバルセロナは無限の解決策を持っている。
相手が中盤でしっかりMFについてくるなら、ブスケツが両CBの間まで落ちて3バックのような形をとってDFラインから前の頭数を変えてみたり、イニエスタが外に開いて開いたスペースをメッシが使うパターンが代表的であろうか。相手FWがCBまでプレスをかけてくるならFWに当てたボールのセカンドボールを狙ってそこからポゼッションを再開したり、ここでもブスケツを落としてCBの位置で数的優位をつくったりするのである。
このようにポゼッションを行う中でも決められた解決策のパターンを大小いくつも持っている。

その上スアレス、ネイマールを獲得したことで中盤を多く経由しない、よりダイレクトな攻撃もバリエーションに含まれた。
このように、バルセロナはサッカーというスポーツを相手より上手くプレーするためにポゼッションというツールを使っているのである。

日本サッカーの現状と今後の展望



このように比較してみると日本のサッカーと世界最先端のそれとでは大きな隔たりがあることが分かるであろう。
『日本サッカーが世界に肉薄しつつある』ように言われるが、世界のサッカーも同じように進歩し続けているのである。
スペインでは、しばしば『サッカーは解決策を探し、実行するスポーツだ』と言われる。
日本ではおそらくこのような捉え方はあまりされていないであろう。
頑張る奴や上手い奴が勝つスポーツのような位置付けではないだろうか。

ハリルホジッチ監督が縦に速いサッカーを打ち出したことで、今度はよりダイレクトなスタイルのサッカーに注目が集まるであろう。
日本はまだ解決策を探す段階ではなく、手札を集める段階なのではないだろうか。
このようにトレンドを辿って、個人技による打開、ポゼッション、カウンター…etcと一つずつ手札を増やし、そこから各チームが好きな戦術を選択し、多様性を生み出していくしかないであろう。
そして、そこからようやく解決策を探すステップに進めるようになるのではないだろうか。

このようにみれば、まだまだ世界のサッカーに肉薄することはできていないことは明らかであろう。
さらに、近年では中国やカタール、アメリカなどが時間とノウハウを金で買う動きが加速しており、下からの追い上げも目を見張るものがある。
うかうかしているとアジアの覇権すら彼らに奪われることになりかねない。

トレンドや簡単に情報収集できる小手先だけのコンテンツに身を奪われ、楽観的な見方をするばかりではなく、日本サッカー界はこういったことをもっと自覚しなければならないのではないだろうか。

Photo by Getty Images
Photo by Getty Images

あなたもサッカーライターになりませんか?

サッカーキング・オピニオンではライター募集中!

サッカーキング・オピニオンに無料メンバー登録するとできること

あわせて読みたい

コメントコメント

山本 衆平

山本 衆平 

そもそもの部分で違うということですよね。歴史はマネられませんし。
本当に日本人が世界と伍するためのサッカーとはどんなものなんでしょう。

Teppei Osato

Teppei Osato 

山本 衆平様 
僕が思うに、日本のサッカー界はよく言われる「日本のサッカー」を語れるほどサッカーについて知らないと思います。ポゼッションもカウンターもハイプレスもリトリートもゾーンプレスもマンマークも全て含めてサッカーであって、全てを使える必要があると思います。だから、同じような特徴の選手ばかり育つ日本の育成の土壌は問題であると考えますし、みんな同じようなサッカーをしてくるのにどうして裏をかいて対策してくる育成年代の指導者が居ないのだろうかとも思います(勝ちにこだわる姿勢が良くない風潮があるからでしょうが)。黒のボールペンだけ絵を描くよりも何色もの色で、鉛筆やクレヨンや筆で絵を描く方が表現の幅が広がるし、良い絵も描けますよね。日本がやっているのは「絵を描くのにボールペン以外で、しかも何色も色を使うなんて邪道だ」と言ってるようなものだと思います。

山本 衆平

山本 衆平 

納得しました。たしかに、バルサが強いとそれが流行して日本中の育成年代のチームがバルサ化するとか、まだまだ「日本のサッカー」を作っていくには時間がかかりそうですね。

Yokozawa Yoshitaka

Yokozawa Yoshitaka 

同感です。何故こうなってしまうかというと日本のサッカーは欧州の良い部分を模倣すればよいと思っているだけです、先日偶然私もポゼッションの歴史について原稿を書きました。70年代オランダのトータルブットボールに対して「引いて守ってカウンターと言う天敵」が現れました。そこでミケルスは対応策としてポゼッションを発案します。自分たちがボールをまわしていれば「相手にゴールを奪われることなない」というもともと守備戦術であるポゼッションをクライフが攻撃へと転換しました。第一次モウリーニョチェルシーのポゼッションは守備の手法で、得点はカウンターという思考は原点回帰とはいえちゃんと考えてますよね。日本にオリジナルはなく全てが欧州や南米の部分的コピーですから。

Teppei Osato

Teppei Osato 

山本 衆平様
選手の質が低くとも、戦術や哲学などの部分を100パーセントの完成度でコピーすればそれはそれでアリだとは思ったりもしますけどね。笑 
日本が欧州に追いつくには中国やアメリカみたいに莫大なお金をかけるか、大企業のようなお金も動かせて一般社会に影響力のある組織がJFAと組み、正しいノウハウを手に入れてサッカーの成長に本格的に乗り出すしかないと思っています。JFAだけにこれができるとは思えないですね。何れにしても一般社会を巻き込んで行かないとお金も人も動かないので厳しいかなーと拙いながら考えたりしていますね。

Teppei Osato

Teppei Osato 

Yokozawa Yoshitaka様
コメントありがとうございます。
ミケルス、クライフ関連の本は僕も読み漁ってた時期がありました。(かくいう僕自身もポゼッション大好き人間だったので笑)日本は歴史が浅く、まだまだ使える手札が少ないのでコピーする事自体は悪くないと僕は思うのですが、問題はいつまでも皆が右に倣えのコピーばかりして、その対応策を考えない事かなと思います。ポゼッション偏重型のチームにロングボールからのセカンドボール奪取を起点とした攻撃をとれば間違いなくされた側はやりづらいはずです。そうやって主導権を握りあうのが欧州のサッカーです。とりわけ、スペインでは皆勝利に貪欲(ずる賢い)なので、日本のように「ボールをつなぐ(だけ)のが僕らのサッカーだ」などと言って、自分の手札を相手に晒すような馬鹿な真似はほぼ絶対しませんし、何より日本のように狭いところでボールを繋ぐだけのサッカーをすれば、1試合に何人けが人が出るかわかりません。笑

林

 

日本サッカーに関する記述が曖昧なので、具体例があればより読みやすいと思いました。

bothfooted

bothfooted 

ポゼッションが面白いと感じるのは、あくまでゴールへの過程だと認識している時ですよね。

コメントはメンバーの方のみ行えますコメントはメンバーの方のみ行えます