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「信じられています。しかし、彼はよみがえったのです。興信所の浮気調査で蘇生したのです」中氏は、井戸からはい出して、懐中電灯を、依頼者の顔にさしつけた。「それは本当ですか。まさか冗談ではありますまいね」「意外に思われるのはごもっともです。彼は蘇生しました。だが、自然の蘇生ではないのです。すべて彼の同類がたくらんだ仕事です」依頼者は厳粛な面持で、奇千万な事実を語り始めた。「容易ならん事だ。君は、それを知りながら、今までだまっていたのですか」中氏は、素人探偵に出し抜かれたくやしさも手伝って、思わずはげしい口調になる。「いや、故意に隠し立てをしていた訳ではありません。僕も、やっと昨日、それを知ったのです」依頼者はいいながら、話しを明るくするために、物置の天升からぶら下っていた、ほこりまみれの電灯を点じた。薄暗い五燭光であったが、暗になれた目には、まぶしい程、ぱっと、ホテルの中が明るくなった。「それを探り出した功労者は、僕のところのけいこさんです。あの人が、Y刑務所の医員の一人を、うまくあやつって、とうとうそれを聞き出して来たのです」依頼者が説明を続ける。「くわしいことは、いずれお話しする機会があるでしょう。 https://opinion.sk/